ハイフの効果

ハイフってたるみに効きますか?

当院でほうれい線のカウンセリングを受けるお客様の中で、過去の治療経験として一番多いのが「ハイフ」です。
やはり「たるみ」を意識して治療を選択するとハイフにたどり着くことが多いようです。
エステで施術可能なものも含め、たるみ治療として一大ブームを起こしたハイフですが、果たして治療効果はあるのか?

先に結論を言ってしまうと、ずばり!

できてしまったシワ(特にほうれい線)・たるみに関してはほぼ治療効果は無い

と言っていいでしょう。
今日はそんな治療効果が気になるハイフについて書いていきます。

執筆者:花岡敦子
丸の内美容皮膚科 院長
目次
  1. そもそもハイフとは?

     

  2. たるみに効く原理とは?

     

  3. そもそもシワとは

     

  4. 早めの治療で効果が期待できる!?

 

1.そもそもハイフとは?

ハイフとは、高密度焦点式超音波High Intensity Focused Ultrasoundの頭文字をとってHIFU(ハイフ)といいます。
超音波を凸レンズで集光するように一点に収束し、一瞬で組織を高温にする仕組みです。
皮膚表面より深い真皮から皮下組織(筋肉や脂肪)に熱作用を起こし、たるみに対するスキンタイトニング治療として使用されています。
たるみ治療である「ウルセラ」や「ダブロ」といったものがこのHIFUにあたる治療です。
たるみ治療について調べたことがある人ならおそらく誰しもが耳にしたことがある治療ですね。
今はさらにいろんなメーカーさんからHIFU治療器が発売されているのではないでしょうか?
メーカーさんによって治療器の名前は違いますが、有名どころでいうとウルセラ、ダブロがこの治療になります。

ハイフとは

 

2.たるみに効く原理とは?

そもそも、照射系治療器では治療後にどんな変化が起こるのか?
たるみの照射系治療器では、基本的に「」を加えることを目的としています。

熱を加えると肌でどんな変化が起こるか?

熱を加えると、その熱刺激により皮膚のコラーゲンが破壊もしくはダメージを受けます。
極端な例で言うと、ヤケドのようなものです。
ダメージを受けた皮膚には、創傷治癒力が働きます。
これは、傷を治そうとする力のこと。
転んだ傷も、手術の傷も、ちょっとした切り傷でもそうです、時間とともに治っていきますよね?
これが創傷治癒力です。
正常な肌であれば誰しもが持つ力です。
この創傷治癒力が働くとき、生体内ではとても複雑な反応がたくさん起こっています。
熱によって破壊されたりダメージを受けたコラーゲンはそのまま死んでしまうわけではなく、この創傷治癒過程において再生されるのです。
このコラーゲンの再生を担っているのが線維芽細胞とよばれるコラーゲンを作り出す細胞です。

ハイフを中心とするたるみの照射系治療器は、熱を与えることによって現在の皮膚の構造をわざと壊して、作り変えさせる。

皮膚の本体である真皮の再構築を図る治療

なのです。

また、他の治療器と比べてハイフの大きな特徴は、上記で述べた皮膚の変化だけでなく、さらに深い皮下組織(筋肉や脂肪、それらをつなぐ靭帯)にも熱刺激を与えることができ、

お顔のより深い部分からリフト効果・タイトニング効果をもたらすことができる治療

ということです。

このように、ハイフは効率よく真皮層~さらにその下の皮下組織(筋肉や脂肪)に熱を与えることができるということで、数多くあるたるみの照射系治療器の中でも一大ブームとなったわけです。

治療効果が出るまでどのくらい?

ハイフによるたるみ治療の原理は上にあげたように、熱刺激によって組織破壊を起こし、引き続き起こる組織の再構築を生じさせることです。
ですので、再構築が起こるまでに多少時間がかかります。
個人差はありますが、平均して治療1カ月後から3~6カ月かけて効果が徐々に現れます。
また、治療直後にリフトアップ・タイトニング感を実感することもありますが、これは強い熱作用によって組織(脂肪や筋肉、靭帯など)が即時的に収縮する(キュッと縮む)ことで張りが出たように感じるためです。
また、治療後に熱刺激による炎症によって起こる浮腫(むくみ)や腫れをハリ感に感じることもあるようです。

実際の効果とは?

理論的なことはさておき、それでは実際の効果はどうでしょうか?
正直、ここが一番気になるところですよね。

残念ながら、

ハイフ治療後に悩んでいたたるみやシワが良くなったという人はほとんど見たことが無い。

というのが正直なところです。


「治療直後はなんとなく肌が引き締まった感じがした」、とか首をかしげながら「なんとなく変わったかな・・・という程度で」と答える方が多く、思ったより効果が無かったという感想を聞くことが非常に多いです。
が、そもそも、ハイフで抜群の効果を得ている人が当院にカウンセリングに来ることも無いと思いますので・・・あくまで、当院に来たお客様の話ですね。

ただ、私もハイフでの治療を受けたことはありますが、すごく良かった!またやりたい!とはなりませんでした。
どうせ治療するならはっきり効果がわかりやすいものをやりたい性格なのです(笑)

余談ですが、熱を加えれば良いということは自分で顔を熱したらどうか?
と、美容治療を始めた当初に考えたことがあります。
コラーゲンに変性を与える温度は60℃を過ぎたあたりといわれており、65℃を超えると破壊されてしまします。
この温度を自分で与えるのは危険すぎます!
皮膚表面がやけどしてしまっては本末転倒ですので。
ただし、生体内であれば体内の酵素の働きによって分解が進むので必ずしも60℃にこだわることはなく、だいたい45℃以上の温度であればたんぱく質(コラーゲン)の変性が起こるようです。
照射系治療器は、安全に、なおかつ必要な部分を熱することができるように作られているのですね。
私のように自力で温める方法はないかと考えた方がいたら、それは危険なのでやめましょう。

ハイフ効果無し

 

3.そもそもシワとは

そもそもシワとは、ある朝突然くっきり凹んでできるものではありません。
複合的な原因が長年蓄積されることで刻まれていくものです。

https://maru-beauty.com/houreisen-genin-fukakunaru/

乾燥ジワや笑ったときにだけ皮膚表面にできるような可逆的なシワ=原因を取り除くことで消えるような初期のシワ

から、

皮膚の組織学的変性(シワに沿ってコラーゲンの構造が壊れてしまっていること)を伴う不可逆的なシワ=原因を取り除いてもできたシワは消えない、定着した折れ目部分の皮膚組織の修復が必要な進行したシワ


治療経過はこちら>>>

へと進行していきます。

シワ治療を考え始めるのは、大抵、進行しきってしまってからの方が多いです。
この状態になるまでの年齢は肌質や生活環境によってもだいぶ差があるので一概には言えませんが、やはり40代を超えてくると不可逆的なシワが圧倒的に増えてくるようです。

https://maru-beauty.com/houreisen-itsukara-kininaru/

ここまで進行してしまうと、なかなかハイフなど照射系治療器で変化を感じるのは難しいようです。

皮膚の再構築を目指しても、ここまで破壊されたコラーゲンを修復するほどの威力は無いということですね。
もちろん照射後のリフトアップ感やタイトニング感を得ることはありますが、完全に定着してしまったシワに関しては治療が難しいと言って良いでしょう。

そもそも、何十年もかけて作られたシワを1回の照射で消せたら苦労はないです。
世の中からシワが消えます。
シワの治療はそんなに甘いものではないということを、治療を始めてから気づく方が多いのも事実です。

 

4.早めの治療で効果が期待できる!?

じゃあハイフは全く意味がないのか?

それは違うと思います。
冒頭で述べたように、

できてしまったシワ(特にほうれい線)・たるみに関してはほぼ治療効果は無い。

定着してしまった、組織学的に修復が必要なシワを改善するほどの威力はあまり期待できません。
が、当然、熱を加えているのでそれなりの反応がお肌の中では起きています。
起きていると、思います。
起きていると信じたい。
ですので、

シワの進行を抑え、大ジワを予防する効果は期待できる!!

ということになると思います。

これを踏まえると、こんなに人にハイフはおすすめです。

  • まだ定着したシワが無い
  • どこというより、なんとなく老化が怖い
  • 注射の治療は絶対に嫌だ
  • 今の状態におおよそ満足しているけど、これ以上は老けたくない

上記のような方にはおすすめできると思います。

すでにできてしまったシワに対しての即効性が乏しく、一度の治療で劇的効果が得られず反復治療を必要とするハイフですが、やはり継続は力なりというのでしょうか。
こういった治療を地道に継続して受けていた方というのは、ご年齢の割にたるみやシワが少なく、お肌がきれいな方が多いように思います。
一度の治療では効果の実感が弱い治療でも、長年の蓄積により大きな差を生むのですね。

 

私もそうでしたが、若い頃は自分が歳を取るなんて夢にも思っていないものです。
しかし残念なことに、生きてきた年数以上にお肌というのは老化していくものです。

シミはコンシーラーで隠せても、シワは隠れません。
シミはレーザーで取れても、深く刻まれたシワは数日では消えません。
照射系治療も取り入れながら、ある程度の年齢を迎えたら治療効果を重視した注射の治療も検討していくのがベストなのではないでしょうか?

老化

 

 

 


丸の内美容皮膚科
院長 花岡敦子

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