ほうれい線の原因

ほうれい線の原因とは?

ほうれい線の原因は単純ではなく、非常に多くの原因が複合的に絡み合っており、年々進行していくシワの一つです。
今回はその原因について書いていきます。

 


 



 

丸の内美容皮膚科
院長 花岡敦子
目次

1. 筋肉の動き

 

2. 顔の構造

 

3. 皮膚の老化

 

4. 重力

 

5. 自己流治療による悪化

1. 筋肉の動き

まずは顔の筋肉の影響からです。
皆さんご存知の通り、「筋肉」は「動く機能をもつ構造物」です。
顔の筋肉は、食べる・しゃべる・笑う・表情を作るなど、生きていくために必要な機能だけでなく、コミュニケーションを取るうえでも重要な機能を担っています。

一般的に、シワはよく動かす皮膚にできやすいです。
これは、お顔の「筋肉」による影響が大きいです。
ほうれい線の近くには、笑ったり、しゃべったり、食べたり、毎日たくさん動かす筋肉が重なり合っています。
筋肉の動きに連動して皮膚は収縮(縮んだり)・伸展(伸びたり)を繰り返しています。
鏡の前で「ニコッ」と笑ってみてください。
皮膚が横に引き伸ばされてほうれい線が食い込みように強く見えますよね。

ほうれい線真顔

↑こちらは真顔の状態です。

ほうれい線笑顔

↑ニコッと笑った時です。ほうれい線がくっきりとしているのが分かります。

ほうれい線の診察の際には、必ず「ニコッ」と笑っていただき、この筋肉の強さも確認していきます。
これは、笑った時にだけ出る初期のシワも見逃さないためです。

本来、お肌の張力(ハリ)や弾力が保たれている肌で、初期のシワであれば表情を元に戻すことでシワは消えます。

ほうれい線初期笑顔

↑笑った時にできるほうれい線も・・・

ほうれい線初期

↑まだ初期なので、表情を戻せばシワが消えます。

しかし、この筋肉による負荷(シワが折りつけられている状態)が蓄積することで、そのシワに沿って皮膚に亀裂が入ってしまい、シワが定着してきてしまいます。
ちょうど、折り紙を強く折った後に開いて伸ばしても折り目が残ってしまうのと同じです。

折り紙シワなし

強く折り目をつけた後、

折り紙シワ残る

開いて伸ばしても折れ線は残り、完全に消えません。

これと同じことが皮膚でも起こります。

ほうれい線重度笑顔

↑ニコッと笑った時。ここまで進行してしまうと・・・

ほうれい線重度真顔

↑表情を戻してもシワがべったりと定着しています。
治療経過はこちら

もしもあなたのほうれい線が、表情を元に戻しても消えなくなって定着してきたようであれば、それはかなり進行してきている証拠です。
日々の筋肉の動きにより、収縮・伸展のストレスが蓄積されることによりシワが不可逆的に刻まれて定着されてきているということですね。
ほうれい線の原因、目立ってくる原因としてこの「筋肉の動き」は非常に大きな要素となってきます。

2. 顔の構造

ざっくりと「顔の構造」とまとめましたが、この中には非常にたくさんの要素が含まれます。
例えば、骨組み、脂肪の厚さ、筋肉の厚さ、そしてこれらがどのように重なりお顔を形成しているか?
※ここでいう筋肉とは、「動き」ではなく、単純に構造物としての「筋肉のボリューム」のことです。

これらは生まれつきの要素・体質などが大きいですが、これもほうれい線の有無、深さを決定する大きな要因となります。

ほうれい線は一般的には「シワ」として認識されていますが、解剖学的には頬の膨らみとお口の筋肉との「境界線」のことを指します。
例えば、頬骨の位置が高い人や、頬に脂肪がつきやすい体質の人などはその境界線に高さ(段差)ができることで影ができ、ほうれい線が深く見えてしまいます。
また、ほうれい線基部(お鼻に近い部分)の骨がくぼんでいるような骨格の場合には、ほうれい線上部が深くくぼんだようなほうれい線になります。
顎が小さいような骨格、歯並びなどの影響でも特徴的なほうれい線となることがあります。
(具体的なほうれい線のお写真はこちら

残念ながら、骨格や脂肪の厚さ、筋肉の厚さを修正することでほうれい線を改善しようとしてもそれはなかなか容易なことではありません。
現代の美容医療をもってすればできないことは無いです。
が、骨を削ったり、脂肪吸引・脂肪除去手術、筋肉切除術を行ったりとかなり大掛かりなものですね・・・

もちろんそこまでしなくても、注射だけでほうれい線を改善する方法はありますので、あきらめないでください。
実際、当院で治療を受けたお客様の中には、ほうれい線がずっとコンプレックスで骨格を修正する手術を検討していたという方もいます。
当院でのグロースファクター治療後、驚くほどほうれい線が気にならなくなり、その手術をする必要がなくなったと喜んでいただきました。
何事の治療にも段階があると思いますので、いきなり大手術に踏み切る前に、その前にできることを考えてみるのも良いと思います。

3. 皮膚の老化

皮膚表面の内側には「真皮(しんぴ)」という肌にハリ感や弾力を与える、いわば皮膚の本体ともいえる構造があります。
この真皮はコラーゲンが主成分であり、繊維状に縦横無尽に張り巡らされた構造により皮膚を内側から強力に支える役目をします。

また、真皮にはエラスチンと呼ばれる繊維構造があり、コラーゲンを支えています。
そして、コラーゲンとエラスチンの間を満たしているのが大量の水分を保持するゲル状のヒアルロン酸です。
これらの成分によって肌には張力(ハリ感)や弾力が保たれています。
そして、これらの成分を作っているのが線維芽細胞です。

加齢によって線維芽細胞の機能が低下してくることで皮膚が乾燥し、硬くなり、弾力を失っていきます。
また、紫外線や食事栄養の偏り、睡眠不足、ホルモンの変化や喫煙習慣などは皮膚にダメージを与えるため、皮膚の老化を加速させる要因となります。

皮膚の老化

内側からの支えや弾力が弱くなることで、頬が落ち込み、ほうれい線が深くなります。
また、さらに進行するとほうれい線が何重にも重なったり、枝分かれを作ったり、お口周囲がシワシワになっていきます。

皮膚の老化

全体的にハリが失われ、お口周りがしぼんだ印象に。
治療経過はこちら

肌の老化はある程度は避けられないものですが、日常生活での小さな努力が10年後には大きな差になることも!
紫外線を極力避けること、不摂生を控えること、十分な睡眠をとること、できることから始めてみると良いと思います。

4. 重力

これもまた地球上に生活するうえで避けることのできないもの。
皮膚老化によって張りや弾力を失った肌に容赦なく負荷をかけるのが重力です。
重力は常にお顔を下に引っ張ります。
頬は顔の中でも一番脂肪の多いパーツですので、たるむ原因として重力も非常に大きな要因となります。

仰向けに寝て鏡を見るとほうれい線が薄くなったように見えませんか?
直立した状態では、重力によって頬が下に引っ張られているのでほうれい線が目立ちますが、仰向けになると重力のかかる方向が変わるためです。
頬のふっくらとしたお顔立ちの方では重力の影響はより大きいので、この変化が分かりやすいかもしれません。

たまに思うのですが、無重力空間に生活していたらたるみ知らずなのでは・・・なんて実現できないことを想像したりします(笑)
地球上で日々直立して生活している私たちにとって、重力による下垂は避けられません。
頬が重力下垂することでたるみが大きくなり、ほうれい線が目立つようになります。

無重力でたるみ知らず

5. 自己流治療による悪化

こちらはおまけです。
よくカウンセリングの際に、「たるみに良さそうなことは何でもやってきた」というお客様がいらっしゃいます。
「何でも」というのは、自宅でできる家庭用美顔器や顔の筋肉トレーニング、顔ヨガ、マッサージ、またエステサロンなどでの施術も含まれているようです。
その効果はどうだったのか?
もちろん、当院にカウンセリングに来ているということは満足のいく効果を感じていないということですね。
こういった手軽にできるたるみ対策には落とし穴があります。

例えば、顔の筋肉トレーニング

最近ではお顔用の筋トレグッズも様々な種類が販売されているようです。
もちろん、体同様にお顔の筋肉は鍛えることで引き締まりますが、筋肉が強くなることでほうれい線が目立ってしまうこともあるのです。
これは上で述べたように、ほうれい線の原因に「筋肉の動き」があるからです。

また、マッサージやエステサロンでの施術。


肌は皆さんが思っているよりも非常にデリケートなものです。
過度な摩擦や圧迫などを加えると、その蓄積により皮膚が伸びてたるみの原因になったり、シミの原因になったり、強いストレスを感じることで老化が加速してしまいます。
「高いお金を払ってエステに通っていたけれど、良くなるどころか悪化した」そんな声も良く聞きます。

もちろんこれはすべての人に当てはまるわけではないと思いますが、もしも、治療効果を感じていない、むしろ悪化している気がする、というのであれば、すぐにやめるべきです。
自分にとって何が本当に必要なのか。
分かってくると、お肌のケアも洗練されていきますね。

自己流治療ダメ


以上、ほうれい線の原因についてまとめてみました。
大抵の方は、これらの原因がいくつか重なっていることが多いです。

ほうれい線は奥が深いシワなのですね・・・
奥が深くても、深いシワにはしたくない。
そんなシワでした。


丸の内美容皮膚科
院長 花岡敦子

一覧