マリオネットラインについて考える
2022.05.03
ほうれい線と同様にお口元のシワとして代表的な「マリオネットライン」。
口角(唇の両端)~顎に向かってできるシワです。
ちょうど、マリオネット人形や腹話術のお人形がお口をパカパカと開けるために作られた線と一致することから、マリオネットラインと呼ばれています。
ほうれい線ほどのニーズはありませんが、やはりここも気になる!というご相談を受けることがあります。
今回はこのマリオネットラインについて考えていきたいと思います。
1.マリオネットラインはなぜできる?
マリオネットラインの原因はまさに「たるみ」といってよいでしょう。
フェイスラインの脂肪・皮膚が年齢とともに下垂し、ここに溜まっていきます。
ほうれい線はお顔の中心付近のたるみの影響が大きいですが、マリオネットラインに関してはお顔の外側=フェイスラインのたるみの影響が大きい部位となります。
バッカルファットやジョールファットといった大きな脂肪群が位置的に関係しているため、その大きさによっては深いシワを作りかねないのです。
2.若くてもマリオネットラインが目立つケース
マリオネットラインが出てくる年齢は様々です。
もちろん年齢を重ねるほどにたるみが進行するので出やすくなりますが、若くてもこの線がすでに出ているケースも珍しくありません。
これは、まだたるみが出ていなくても、お顔のお肉、特に頬の下あたりがふっくらとしている場合に影になって見えてしまうということです。
極端な話、お顔がふっくらとしていると子供でも影になって見えるのです。
拡大して見ると・・・↓
頬のお肉と顎との境界にくっきりとマリオネットラインが見えます。
このように、お顔のお肉がふっくらとしている場合、顎には脂肪がつきにくいため、どうしても段差が目立って見えてしまうのです。
まだたるみが出ていないようであれば、このお肉を脂肪吸引などで除去するというのは一つの方法として有効です。
ただし、通常、30歳過ぎからは大抵の場合たるみが出てきていますので、脂肪除去によって皮膚がたるんだ様に見えてしまう可能性が高く、やるとしても早めの20代前半がおすすめです。
3.注射がベストな治療法か?
こちらに関しては賛否両論あると思いますが、私はベストでは無いと思っています。
マリオネットラインを注射で解決しようとした場合、どんな仕上がりになるのか考えていきます。
まずは当院がほうれい線にイチオシしているグロースファクター治療について。
当院では、マリオネットラインに関してはグロースファクター治療の適応外とさせていただいております。
その理由としては、マリオネットラインには弱いかな?というのが率直な意見だからです。
先ほどからお伝えしている通り、マリオネットラインはある程度しっかりとしたお肉・皮膚のたるみが関係していることが多く、その溝を埋めるのは容易ではありません。
グロースファクター=膨らむと考えている方も多いですが、グロースファクターの作用はコラーゲンを増やすことによって皮膚にハリを取り戻すことです。
紙一重のようですが、実は大きく膨らませることは難しいのです。
※PRP+グロースファクターなどの薬剤は爆発的なコラーゲン生成によって「膨らむ」ことがあります。
そのため、「溝を埋める」「膨らませる」という意味ではヒアルロン酸のほうが威力は強いかもしれません。
ただし、マリオネットラインの原因となっているたるみに合わせて溝を埋めてしまうと、その分お顔がボテッとしてしまい、フェイスラインの仕上がりが綺麗ではありません。
写真を使って詳しく見てみましょう。
まず、マリオネットラインの原因となっているのが青い点線で囲った部分です。
このたるみ=膨らみができることで、赤い部分=マリオネットラインができています。
つまり、そもそもこのマリオネットラインというのは凹んでいるわけではなく、たるみによって相対的に凹んだ様に見えてしまうということです。
では、ここを平らにするため、赤く凹んで見える部分にヒアルロン酸を注入したとすると・・・
結果的に、↑青く囲った部分全体がポコッと膨らんだ様になってしまいます。
膨らみに合わせて単純に溝を埋めてしまうと、そのあたり一帯がポコッと膨らんだ様に見え、仕上がりが綺麗ではありません。
ほうれい線の場合には、溝を埋めたとしても綺麗に納まってくれます。
これは、ほうれい線が生理的な窪みでもあること、さらにお顔の中心に位置していることが関係しています。
マリオネットラインを綺麗に仕上げるという意味では、やはりこの落ちてきたたるみを元の位置に戻すようなリフトアップ治療が必要になるのです。
注射治療はあくまで補助的なもの、、程度に考えておくのが良いかもしれません。
あくまで、私個人の意見ですし、その進行度合いや性状によっても変わると思いますが。
4.まとめ
マリオネットラインはほうれい線とは少し性質の異なるシワです。
さらに位置的な観点からも、注射での治療は十分とは言い難いのです。
ある意味、マリオネットラインのほうが綺麗に仕上げるとなると難しいのかも・・・と思うことすらあるのです。
私自身がマリオネットラインが気になってきたこともあり、良い治療があれば紹介していきたいと思います。
丸の内美容皮膚科
院長 花岡敦子